毎年ノーベル文学賞候補に挙がっている村上春樹さんの大ベストセラー『ねじまき鳥クロニクル』はハルキストの中でも特に賛否両論を分ける作品かもしれません。

私はハルキストですが一番衝撃を受けた作品です。

*文章の構成が天才的

村上春樹さんは間違いなく日本で一番の作家と言えるでしょう。毎年ノーベル文学賞候補に挙がっては苦渋を舐めさせられる展開にハルキスト(村上春樹ファン)は苛立ちすら覚えているのではないでしょうか。

村上さんの作品で多く見られるのが、二つの話が上手く重なり合う展開です。

二人の主人公がそれぞれストーリーを進めていってどこかで混じり合うそんな作品が多いのですが、『ねじまき鳥クロニクル』では第二次世界大戦の話と現代の話が上手く交差しています。

さらに凄いところは交差させすぎておらずほのかにかすめるといった感じで読者心理を「まだ?まだ?」と煽っています。

これは『ねじまき鳥クロニクル』だけに限らず『海辺のカフカ』でも『1Q84』でも当てはまります。

一度読んでも分からないけど二度、三度読んだら見えてくることが多々あります。

内容ももちろん凄いのですが、この構成だけでも読んでみる価値がある作品かもしれません。

ちなみに私の家内もちょっとしたハルキストですが、『ねじまき鳥クロニクル』は良さが全く分からなかったと言っていたので(私の中ではダントツ一番の作品です)そこでも当たり外れが多いというのがわかります。

*場面場面に強烈なエピソードを残す

『ねじまき鳥クロニクル』では場面場面で超衝撃的な印象を読者に与える場面が多々あります。

例えばストーリーを忘れてしまったとしても妻が夫に浮気をしているという告白の手紙の内容が痛烈だったり、人の殺し方が残虐すぎてさらに描写がうますぎるため頭の中で鮮明に映像化されてしまったりと幸か不幸か心に深く刻まれてしまうものが多々あります。

私はこの作品を5回くらい読んだのでそういう場面が結構あるのですが、登場人物の一人が「無性に柏餅を食べたくなった」という場面があるのですが、その表現方法として、

「半年分の給与を支払ってでもいいから今この場で柏餅を食べたい」

という表現を使っていました。こういった些細な物事の程度を表すのが上手く、心に刻まれるものが多かったです。

ちなみに私は柏餅を見るたびにこのエピソードを思い出してしまい、このエピソードを思い出すことで全体のストーリーを思い出してしまいます。

一種のフラッシュバックといった感じですが、そのためこの作品を一生忘れることがないのだろうなと思います。

*とにかく激しい感情移入をしてしまう。

『ねじまき鳥クロニクル』に出てくる主人公は容姿端麗な訳でも特に能力が高いという訳ではありません。それどころか奥さんには逃げられ、その奥さんの兄とは因縁があるなど決していい状態ではありません。

お金を貯めなければいけない状況で宝くじを買うのですが当たりを見る前に、

「この宝くじは当たるわけがない」

と捨ててしまいます。中途半端でやりきれない場面では「分かる」と共感できてしまうことでしょう。

また主人公だけでなくあらゆる登場人物に共感できる部分が多々あり、それでいて必死感が伝わらないので非常にゆったりした時間の中で話を読み進めることができます。

ぼーっと読んでいたら2、3ページで展開が急に変わってしまうので読む際は意識がクリアな状態で読むことをおすすめします。

『ねじまき鳥クロニクル』は文庫本で3冊と超長編大作ですが読んで損はない作品です。(私はもし村上春樹さんがノーベル文学賞を取れたとしたら、この作品の功績が一番の大きいのではないかと思っているくらいです)

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