安東みきえさんの『夕暮れのマグノリア』は児童文学なのにもかかわらず大人が読んで深く考えさせられる作品です。

多感期の中学生はもちろん、その親も是非読んで自分の中学時代と照らし合わせてみてもいいでしょう。

*『夕暮れのマグノリア』とは

安東みきえさんの『夕暮れのマグノリア』は6つの短編小説が詰まった本であり、「夕暮れのマグノリア」というタイトルの話はありません。奇数の季節に合わせた6つの話でいずれもふしぎな世界に誘ってくれます。

私が安東みきえさんを知ったのは塾講師をしていた際、中学生の国語のテキストでした。

生徒たちはやはり退屈そうに文章を読んでいましたが、一人の生徒から作者について突っ込まれて聞かれてしまいたじろいでしまったのを覚えています。

普段本に興味を示さなかった女の子が作品に魅せられた瞬間を初めて目の当たりし、テストでいい点数を取ったときよりも嬉しかったです。

テキストでは一部しか抜粋されておらず私も続きが気になっていたので取り寄せて読んでみたのですが、やはり面白い。

短編小説が小説で20〜30ページで構成されている上、字が大きいためさらっと読んでしまえます。(ボリュームが少ないのではないかという点についてはあまり触れないでおきましょう)

そのため小説があまり好きではないという人におすすめです。

*おすすめの作品循環バス〜凛さんとのふしぎな七月〜

『夕暮れのマグノリア』は名作ばかりが詰まっていますが、おすすめの一つを挙げろと言われたらやはり「循環バス~凛さんとのふしぎな七月~」です。

この作品で私の生徒がやられたので10人に1人はヒットするのではないかと思っています(当時のクラスは10人程度でしたので)

この作品はクールで物怖じしない凛さんが主演するのですが、主人公が凛ちゃんを気遣うあまりバスで異世界にトリップして凛ちゃんの内面を(あくまで主人公の想像なのですが)見てしまいます。

すぐに現実に戻るのですが、こういった場面の演出、空想への入り方は安東みきえさんのうまさだと思います。

安東みきえさんは絵本作家でもあるためその繊細さが十分に凝縮されている話でこの話を読むだけでも本を買う価値があると言えるでしょう。

短い話ですぐに読めてしまうにもかかわらず内容はぎっしりとしていて読みごたえがあります。

嫌な顔をされる可能性があるかもしれませんが本屋でこの話だけでも立ち読みしてみてはいかがでしょうか。もちろんよければ購入を前提ですが…

*読書嫌いの小・中学生へ

小・中学生の読書離れは随分前から指摘されています。ゲーム、携帯電話(今ではスマートフォンですが)や大ヒット漫画の台頭で小説というもののエンターテイメント性が失われているからです。

そして彼らは文字を映像化することに対して「疲れる」と感じているのだと思います。しかしこの映像化するということは慣れてしまえば簡単です。

安東みきえさんの『夕暮れのマグノリア』はこの映像化の訓練には持ってこいの作品だと思います。それでいて考えさせられる点もかなり多いので是非読んでいただきたいです。

その他安東みきえさんの『天のシーソー』もかなりおすすめなので『夕暮れのマグノリア』の一つを読んで「いいな」と思ったら手に取ってみるといいでしょう。

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