あさのあつこさんの『バッテリー』は耳にしたことがある人が多いと思います。小学生の国語のテキストで使われたり、映画化、アニメ化されるなど児童文学の最高傑作と言っても過言ではないでしょう。

*『バッテリー』とは

あさのあつこさんの『バッテリー』は主人公でピッチャーの原田巧とキャッチャーの永倉豪を中心に展開される野球小説です。

野球の描写はもちろん多いのですが、練習風景や野球を通して成長する、もしくはその時持っている感情と野球をする際のコンディションをうまく連携させています。

成長期の子供たちは体が大きくなるだけではなく、仲間やライバルに刺激され心も大きくなると言う成長を感じさせてくれます。

それにもかかわらずなんと公式戦には出ないといった拍子抜けしてしまう面もあります。

しかし大会のドキドキ感がないにもかかわらずここまで読みいってしまうのはまさにあさのあつこマジックと言えるでしょう。

文字が読むのが苦手という人はアニメもやっているのでそちらをまず見てもいいかもしれません。

児童文学なのに深夜にやっていると言うのが納得できないところですが、そこにケチをつけてもしょうがないので是非録画などしてみて下さい。小・中学生には超おすすめ作品です(もちろんできれば原作おすすめたいのですが…)。

文庫が一冊で終わるということではないので長い作品ではありますが、一冊一冊はさほど時間をかけずに読めてしまいます。小説を普段あまり読まないという人でも内容が難しくないためおすすめです。(さらに児童文学だからと言って完全子供向けというわけでなく大人でも楽しめる作品です)

*『バッテリー』の面白いところは?

『バッテリー』の面白いところは登場人物一人一人の描写が細かくて読み手に共感できる人物を作らせているというところです。

『バッテリー』というとガチガチの野球小説だと思ってしまうかもしれませんが、あさのあつこさんは登場人物一人一人の描写を大事にしていると思います。

多くの野球漫画の場合、主人公のいるチームのエースだったり、スラッガーに焦点が当てられ他のチームのメンバーががっつり紹介されるという展開はあまりまりません。(対戦相手でどうやってうまくなったかという描写を織り交ぜてくることはよくあるのですが)

しかし『バッテリー』の場合は大会を勝ち進めていくというわけではなく2チームにしか焦点が当てられていないため一人一人の描写はかなり詳細に描かれています。そのため野球好きでない人もすんなり小説に入れるでしょう。

『バッテリー』のスピンオフ作品に「ラスト・イニング」という作品があるのですが、この作品は主人公原田巧のライバル門脇ではなくその片腕役の瑞垣が主人公になっているということこからもキャラクターの個性を重視していることが伺えます。

ちなみにラストイニングは違ったテイストで書かれていてこちらもあさのあつこさんの代表作でおすすめです。ちなみに私は塾講師をしていた時にラストイニングを知ってあさのあつこさんに惚れ込み『バッテリー』を揃えたクチです。

*主人公に共感できないところを書いている点も素晴らしい

『バッテリー』の面白いところは主人公に共感できないところにあると思います。

なんでこんなにすぐにイライラするんだろうとか、野球のことばっかり考えてこんな奴と友達になりたくないというような人柄なのですが登場人物はそんな主人公に惹かれていきます。

それが子供目線であったり、実際の野球が上手ければカリスマ性があるのだろうと言った大人では理解し難い所が顕著に現れます。

また主人公だけでなく、『バッテリー』には子供に野球をさせたくない親の心情がたっぷり書かれていていわゆる「野球大好き」とか「ザ・スポ根」と言ったテイストとは大幅に異なります。

それはまさにあさのあつこさん独特の視点で野球好きでない人からにも支持を得られる所以ではないでしょうか。

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