小説好きなら絶対に読みたい!おすすめ小説11選|島谷幸宏

小説のおすすめ作品をお探しですか? それならこのサイトでご紹介している作品をぜひ読んでみてください。会社員とライター業の二足の草鞋に忙殺されつつも、小説、漫画も読まずにいられない。さらには小説、漫画が原作の映画やアニメも観ずにはいられない中毒者の私・島谷幸宏がおすすめする小説11作品をご紹介しています。

『バッテリー』あさのあつこ―児童文学の最高傑作!

『バッテリー』あさのあつこ―児童文学の最高傑作!

あさのあつこさんの『バッテリー』は耳にしたことがある人が多いと思います。小学生の国語のテキストで使われたり、映画化、アニメ化されるなど児童文学の最高傑作と言っても過言ではないでしょう。

*『バッテリー』とは

あさのあつこさんの『バッテリー』は主人公でピッチャーの原田巧とキャッチャーの永倉豪を中心に展開される野球小説です。

野球の描写はもちろん多いのですが、練習風景や野球を通して成長する、もしくはその時持っている感情と野球をする際のコンディションをうまく連携させています。

成長期の子供たちは体が大きくなるだけではなく、仲間やライバルに刺激され心も大きくなると言う成長を感じさせてくれます。

それにもかかわらずなんと公式戦には出ないといった拍子抜けしてしまう面もあります。

しかし大会のドキドキ感がないにもかかわらずここまで読みいってしまうのはまさにあさのあつこマジックと言えるでしょう。

文字が読むのが苦手という人はアニメもやっているのでそちらをまず見てもいいかもしれません。

児童文学なのに深夜にやっていると言うのが納得できないところですが、そこにケチをつけてもしょうがないので是非録画などしてみて下さい。小・中学生には超おすすめ作品です(もちろんできれば原作おすすめたいのですが…)。

文庫が一冊で終わるということではないので長い作品ではありますが、一冊一冊はさほど時間をかけずに読めてしまいます。小説を普段あまり読まないという人でも内容が難しくないためおすすめです。(さらに児童文学だからと言って完全子供向けというわけでなく大人でも楽しめる作品です)

*『バッテリー』の面白いところは?

『バッテリー』の面白いところは登場人物一人一人の描写が細かくて読み手に共感できる人物を作らせているというところです。

『バッテリー』というとガチガチの野球小説だと思ってしまうかもしれませんが、あさのあつこさんは登場人物一人一人の描写を大事にしていると思います。

多くの野球漫画の場合、主人公のいるチームのエースだったり、スラッガーに焦点が当てられ他のチームのメンバーががっつり紹介されるという展開はあまりまりません。(対戦相手でどうやってうまくなったかという描写を織り交ぜてくることはよくあるのですが)

しかし『バッテリー』の場合は大会を勝ち進めていくというわけではなく2チームにしか焦点が当てられていないため一人一人の描写はかなり詳細に描かれています。そのため野球好きでない人もすんなり小説に入れるでしょう。

『バッテリー』のスピンオフ作品に「ラスト・イニング」という作品があるのですが、この作品は主人公原田巧のライバル門脇ではなくその片腕役の瑞垣が主人公になっているということこからもキャラクターの個性を重視していることが伺えます。

ちなみにラストイニングは違ったテイストで書かれていてこちらもあさのあつこさんの代表作でおすすめです。ちなみに私は塾講師をしていた時にラストイニングを知ってあさのあつこさんに惚れ込み『バッテリー』を揃えたクチです。

*主人公に共感できないところを書いている点も素晴らしい

『バッテリー』の面白いところは主人公に共感できないところにあると思います。

なんでこんなにすぐにイライラするんだろうとか、野球のことばっかり考えてこんな奴と友達になりたくないというような人柄なのですが登場人物はそんな主人公に惹かれていきます。

それが子供目線であったり、実際の野球が上手ければカリスマ性があるのだろうと言った大人では理解し難い所が顕著に現れます。

また主人公だけでなく、『バッテリー』には子供に野球をさせたくない親の心情がたっぷり書かれていていわゆる「野球大好き」とか「ザ・スポ根」と言ったテイストとは大幅に異なります。

それはまさにあさのあつこさん独特の視点で野球好きでない人からにも支持を得られる所以ではないでしょうか。

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『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎―感情移入必至作品

『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎―感情移入必至作品

「早く逃げろ」そう思ってしまうこと間違いなしの作品が『ゴールデンスランバー』です。

首相の暗殺の濡れ衣を着せられた主人公が逃げて逃げて逃げまくる作品で手に汗握ってしまいます。伊坂幸太郎さん独特のユーモアさも混ぜられていて面白い作品です。

*『ゴールデンスランバー』について

『ゴールデンスランバー』の説明を簡単にしますと、伊坂幸太郎さんの代表作の一つで本屋大賞(書店員が売りたい作品)の金賞に輝いています。

映画化もされていて主演に堺雅人さんを使っているほか豪華キャストで固められている作品です。

ぶ厚い本なのに映画の短い時間でうまくまとめられていて本を読むのがちょっと苦手という人は映画を見て内容を知ってから本を読んでみても面白いと思います。

『ゴールデンスランバー』はケネディ大統領暗殺のパロディー作品で主人公が暗殺者として濡れ衣を着させられてしまいます。うまいことはめられた主人公がどのように逃げるかと言うのが見ものです。

大学時代の友人や過去の職場での先輩が主人公をうまく手助けをし、身内でしか知らないサインを組み込んでいるあたりが「仲間の絆」をうまく表現できていて見ごたえたっぷりです。

今でも伊坂幸太郎さんは超人気作家の一人ですが、当時出せば大ヒットを飛ばすという作家でした。そのため『ゴールデンスランバー』を出した時の反響も物凄いものでした。

私が横浜の図書館で借りようと思った時946人待ちという今までに見たことのない人数に唖然としていました。そして借りたはいいけどあまりにも面白かったため購入してしまうという選択を取ってしまいました。

*シリアスな中にもユーモアさがある

上記で触れたように『ゴールデンスランバー』は主人公が首相暗殺の犯人にされてしまう話です。そ

のためシリアスな作品であることは間違いありません。それでも随所に楽観的な面が織り交ぜられたり、ユーモアさが組み込まれたりと読み手を飽きさせず、疲れさせずと言ったような工夫が随所に見られます。

例えば主人公の実家にテレビ局が押しかけてきた時にマイクが父親に向けられるのですが、息子が犯人ではないと知った上で公共の電波を使って「ちゃちゃっと逃げろ」と言ったり、主人公はエレベーターのボタンを親指で押すのですがそれを上手く絡めてきたりというところはまさに圧巻です。

一回読んだだけでは見落としてしまう伏線も何度も読むことでここがこういう風に使われるのかと感心してしまうこと間違いなしでしょう。

伏線を張るというのは伊坂幸太郎さんの十八番だと思っていますが、やはりこの作品でもよく見られます。

*自分がこの立場に立たされたら

『ゴールデンスランバー』を読んだ場合ほぼ全ての読者が大なり小なり「もし自分がこの立場に立たされてしまったら」ということを考えずにはいられないでしょう。

自分が同じ立場に立たされたら仲間になってくれる人はいるか、何をどう駆使して逃げるか、あるいは立ち向かうかと言うことを想像してしまうのではないでしょうか。

それを糸口に絶体絶命の状況を打破しようとする力こそ正に人間力だと思います。

ちょっと大げさかもしれませんが『ゴールデンスランバー』は読書中、読後に思考力をそこまで発展させられる作品だと思います。

『ゴールデンスランバー』が本屋大賞を受賞したのは伊達でなく、読んで満足できること間違いなしです。

ケネディ大統領暗殺に興味がある人も読んでみて「なるほど」と思うことがあるかもしれません。

伊坂幸太郎さんの作品はどれも好きでどれが一番というのはなかなか決めづらいのですが、よく「どの作品がおすすめ?」と聞かれたらこの『ゴールデンスランバー』を紹介することにしています。

 

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『海辺のカフカ』村上春樹―奇妙な人と人とのつながり

『海辺のカフカ』村上春樹―奇妙な人と人とのつながり

『海辺のカフカ』は村上春樹さんの代表作の一つでそれまでの村上作品を融合した難解な作品であると言えるでしょう。

だからと言ってほかの作品を読まなければ分からないということではなく、私は村上春樹さんの長編作品は『海辺のカフカ』から入りました。

この作品でハルキストになったという人も少なくないのではないでしょうか。

*奇妙な世界が渦巻く『海辺のカフカ』

『海辺のカフカ』に限らず村上春樹さんの作品は奇妙な世界に入り込んでしまうのが特徴的です。

そのため集中して読んでいないとなんで異世界に飛び込んでしまったのか、どのように異世界に迷い込んでしまったのかと言うことが分からなくなり、前に戻って読むということがしばしば出てきます。

『海辺のカフカ』では「僕」の章と「ナカタさん」の章に分かれています。過激な性的描写が多いためそういうのが苦手だという人にはあまり勧められませんが、紛れもなく日本文学史に刻まれる超大作だと言えるでしょう。

各国で読まれている『海辺のカフカ』ですが謎も多くの多くの感想や質問が寄せられたようです。

この作品を楽しむコツは完璧に理解しようとはせず受け取れたまま読み進めるということだと思います。

村上春樹さんの作品はほとんど全ての作品においてが予想してもどうせ予想が裏切られるというのが特徴的です。

この作品も「僕」と「ナカタさん」の展開を大いに予想して見事に裏切られてみてください。

読後面白かったという感想を持つことは多いと思いますが、家族に今どこまで読んでいると言うのが恥ずかしいほど性的描写が多いのでそこだけは注意するようにしてください。

*登場人物はそこまで多くない

村上春樹さんの作風は登場人物がそこまで多くないという特徴があるのですが、『海辺のカフカ』も同じことが言えます。

主人公である「田中カフカ」=「僕」と「ナカタサトル」=「ナカタさん」の登場が多く他はあまり出てきません。

二つのことなった章が交互に現れるため「この先が気になる」と思っていてもまた違う章が現れ、また「この先が気になる」というところで違う章が現れます。

しかも読書に没頭してしまうため前の章がどういう終わり方をしてしまったのか忘れてしまうことが多いです。

一回目はあまりおすすめしませんが、二回目からは「僕」だけの章を読み進めてそれが終わったら「ナカタさん」だけの章を読み進めてみてはどうでしょうか。

逆から読んでみるのも一つの手です。この作品に正しい読み方はないと思うので色々試してみるといいと思います。

*『海辺のカフカ』、村上春樹さんのすごさ

『海辺のカフカ』は何度読んでも謎の部分があり完全に読解することは不可能だと思いますが、逆を言えば何度読んでも楽しめるので一冊で何回も楽しめるの本当言えるでしょう。

毎年夏には「この夏読んでおきたい100冊」などで店頭に並ぶことが多いので簡単に見つけることができるでしょう。

私はこの本で人生観が変わり、それまで短編小説を中心に読んでいたのですが、この作品を読んでから長編作品にはまるようになりました。

また村上春樹さんの本は最も翻訳されている本で海外でもファンが多いです。私のロシア人の友人は『海辺のカフカ』の原作が欲しいと言って私を古本屋に案内させました。

またポーランド人の友人は「えっ村上作品読んだことないの?」(当時読んでいなかったのではいとしか答えられませでした)と聞いてきて「お前は日本人じゃない」とまで言われてしまいました。

それほど海外に浸透している作家でいずれノーベル賞間違いないという見方は日本よりむしろ海外での方がすごかった感じがしました。

 

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『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹―衝撃を受けずにはいられない

『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹―衝撃を受けずにはいられない

毎年ノーベル文学賞候補に挙がっている村上春樹さんの大ベストセラー『ねじまき鳥クロニクル』はハルキストの中でも特に賛否両論を分ける作品かもしれません。

私はハルキストですが一番衝撃を受けた作品です。

*文章の構成が天才的

村上春樹さんは間違いなく日本で一番の作家と言えるでしょう。毎年ノーベル文学賞候補に挙がっては苦渋を舐めさせられる展開にハルキスト(村上春樹ファン)は苛立ちすら覚えているのではないでしょうか。

村上さんの作品で多く見られるのが、二つの話が上手く重なり合う展開です。

二人の主人公がそれぞれストーリーを進めていってどこかで混じり合うそんな作品が多いのですが、『ねじまき鳥クロニクル』では第二次世界大戦の話と現代の話が上手く交差しています。

さらに凄いところは交差させすぎておらずほのかにかすめるといった感じで読者心理を「まだ?まだ?」と煽っています。

これは『ねじまき鳥クロニクル』だけに限らず『海辺のカフカ』でも『1Q84』でも当てはまります。

一度読んでも分からないけど二度、三度読んだら見えてくることが多々あります。

内容ももちろん凄いのですが、この構成だけでも読んでみる価値がある作品かもしれません。

ちなみに私の家内もちょっとしたハルキストですが、『ねじまき鳥クロニクル』は良さが全く分からなかったと言っていたので(私の中ではダントツ一番の作品です)そこでも当たり外れが多いというのがわかります。

*場面場面に強烈なエピソードを残す

『ねじまき鳥クロニクル』では場面場面で超衝撃的な印象を読者に与える場面が多々あります。

例えばストーリーを忘れてしまったとしても妻が夫に浮気をしているという告白の手紙の内容が痛烈だったり、人の殺し方が残虐すぎてさらに描写がうますぎるため頭の中で鮮明に映像化されてしまったりと幸か不幸か心に深く刻まれてしまうものが多々あります。

私はこの作品を5回くらい読んだのでそういう場面が結構あるのですが、登場人物の一人が「無性に柏餅を食べたくなった」という場面があるのですが、その表現方法として、

「半年分の給与を支払ってでもいいから今この場で柏餅を食べたい」

という表現を使っていました。こういった些細な物事の程度を表すのが上手く、心に刻まれるものが多かったです。

ちなみに私は柏餅を見るたびにこのエピソードを思い出してしまい、このエピソードを思い出すことで全体のストーリーを思い出してしまいます。

一種のフラッシュバックといった感じですが、そのためこの作品を一生忘れることがないのだろうなと思います。

*とにかく激しい感情移入をしてしまう。

『ねじまき鳥クロニクル』に出てくる主人公は容姿端麗な訳でも特に能力が高いという訳ではありません。それどころか奥さんには逃げられ、その奥さんの兄とは因縁があるなど決していい状態ではありません。

お金を貯めなければいけない状況で宝くじを買うのですが当たりを見る前に、

「この宝くじは当たるわけがない」

と捨ててしまいます。中途半端でやりきれない場面では「分かる」と共感できてしまうことでしょう。

また主人公だけでなくあらゆる登場人物に共感できる部分が多々あり、それでいて必死感が伝わらないので非常にゆったりした時間の中で話を読み進めることができます。

ぼーっと読んでいたら2、3ページで展開が急に変わってしまうので読む際は意識がクリアな状態で読むことをおすすめします。

『ねじまき鳥クロニクル』は文庫本で3冊と超長編大作ですが読んで損はない作品です。(私はもし村上春樹さんがノーベル文学賞を取れたとしたら、この作品の功績が一番の大きいのではないかと思っているくらいです)

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『手紙』東野圭吾―家族の絆がここにある

『手紙』東野圭吾―家族の絆がここにある

東野圭吾さんといえば日本を代表する推理作家として知られていますが、『手紙』は推理ではなく殺人事件が起きた後にどういう生活がなされるかということが細かく書かれている作品です。

家族の絆が痛いように伝わります。

*感動したい時におすすめの作品と言ったらこれ

東野圭吾さんの『手紙』は弟の学費を得ようと空き巣を試みた兄が、犯行現場を見られたということで目撃者を殺してしまうというところから物語がスタートします。

兄は自分のエゴを出さず常に弟のためにという精神を持っているため読者からは「許してあげても…」なんて言う感情移入に誘導されてしまいます。

さらに獄中から毎月一回弟に対して手紙を書く健気さも増して、犯罪者なのに同情されることが多いでしょう。

罪を犯してしまった犯人の後悔と手紙をもらう弟の感情、さらには弟の生涯が左右されてどういう決断を取るのか見ものだし、弟の決断をよしとする反面なんとも言えがたい感情が起こってしまって悲しくなってしまうという人は少なくないはずです。

私はこの『手紙』は泣ける作品ベスト3に入れます。いい意味の感動というのとは違いますが感情が揺り動かされるという面では計り知れないものがあります。

東野圭吾さんと言ったら推理小説という印象を持たれますが、『手紙』のような感動作も超一流で誰もが納得する作品だと思います。

この作品はドラマ化もされていてそちらでも人気を集めました。

*犯罪者目線で描かれているのが珍しい

私は結構犯罪者には冷たく、下される刑についてもっと重くするべきだ(ほとんどの刑は軽すぎると思っている)と考えています。

しかし東野圭吾さんの『手紙』を読んでしまうと犯罪者側の目線に立ってしまうので「ちょっとどうにかならないものかな?」と思ってしまいます。

そういった意味では結構問題作で、いつ読んでもいいというわけにはなれないと思います。(例えば殺人事件が起きた後にこの作品を読んでしまったら犯人を許す慈悲深い心を持つ方がいいのではないかと思ってしまう人が多くなってしまう)

それでも一回は読んでみてもらいたい作品で、この本から学ぶこと(学んでしまうこと)は多いはずです。

ドラマをみてもいいと思いますが、キャストへの好き嫌いで感情が変わってきてしまうためやはり原作を読むのをおすすめします。(大好きなキャストが犯人役をやったら許してあげて!となってしまうから客観的な目線で見られないからです)

*家族とは何か、自分とは何かを思い知らされる

東野圭吾さんの『手紙』はやはり話の展開と登場人物のとる選択から目が離せません。

家族の温かさが感じられる反面、時に悲痛な決断を下さなければいけないこともある。家族とはどういうものなのかということをまざまざと考えさせられ、自分と家族を見つめ直す作品と言えるでしょう。

私は気に入った本は結構何回でも読むタイプなのですが、『手紙』に関して言えば重すぎるため二回目を読むということを今のところしていません。

決して作品が悪いというわけではなく、それなりの覚悟を決めて読まなければいけないと言っていいほどずっしりくるからです。

そして子供を持つ人には是非読んでほしい作品です。(直接子供がでる場面はありませんが、家族を大事にしよう、子供を大事にしようと思わせてくれる作品だと思っているからです)

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『熱球』重松清―やっぱり暑い夏が好きだ!

『熱球』重松清―やっぱり暑い夏が好きだ!

熱い夏を感じたいと言ったら外せないのが重松清さんの『熱球』です!

甲子園出場まであと1勝と迫った主人公達の高校時代の無念さや大人になってからの上手くいかない日常など痛感できる場面が面白いです。

*大きく分けて場面が二つ

『熱球』の面白いところは繊細なタッチや感情の現し方はもちろんのこと高校時代と二十年後の現代を上手く描いていることです。

主人公は高校時代野球をやっていた。実力はないけど運も味方にしてあれよあれよという間に決勝までたどり着いてしまった主人公達。

この流れで甲子園まで行けるのではないかと色気を出した瞬間、部員の不祥事が発覚。結局決勝戦を戦うことなく敗戦が決定してしまいます。

その不祥事とはマネージャーの妊娠。本来であれば一、二回戦で負けていたためこんなことにはならなかったが下手に勝ち進んでしまったためこのようなことになってしまった。

『熱球』ではこのような幸を不幸に変える場面が散りばめられていて読み手をハラハラさせてくれます。

推理小説でもないのに伏線が張られている作品で作者の重松清さんの画力(私が受けた印象ですが絵を描いているような作風で見るものを圧倒する)の高さがうかがえます。

そして現在。甲子園出場できなかった主人公の生活、感情が鮮明に描かれていて読み手を惹きつけます。

*感情の変化が繊細

主人公は元エース。さぞ強心臓の持ち主かと思いきや繊細で場面場面によって感情に波が現れます。重松清さんの表現力がうますぎるためその波が大きく見えます。

人生に対して希望がなければダメ、でも希望だけでもダメ。難しい人間模様が熱く描かれ、それは高校球児でなくてもまさに見えない白球を追っているということがテーマになってるのではないでしょうか。

しかも白球だったら味気ない感じがしますが、この作品はやはり熱を帯びた「熱球」を追っています。

何がよくて何がダメかなんて一概に言えないところに読者に「考えさせる」という趣向がこらされています。そんな重松清さんの熱い思いもまさに読者に熱球を投げかけているのではないでしょうか。

少々重く受け止めすぎかもしれませんが、この揺さぶられ方は心地よさを通り超して「早く先を教えて!」といった感じでしょう。この作品を読んだら重松清さんのファンになる可能性は大です!

*やっぱり熱い想いを持ちたい

『熱球』を読むと「熱い想いを持ちたい」、「熱い気持ちを持つべきだ」そんな想いにしてくれることでしょう。

もちろんクールなことは必要です。でも時には負けてもいいから熱くならなければいけない時もあると思わせてくれる作品です。

登場人物は様々な熱い想いを持っているのにそれを出し切れずにいる。中途半端と言うことをもったいないと気づかせてくれるかもしれません。

簡単に上手くいく人生なんて誰にもないと言うのをまざまざとかんじさせられる作品で、挫折でくじけそうになった時、もう一歩踏み出せない自分が顔を出した時読むことをおすすめしたい本です!

大人向けの内容にもかかわらず表現を噛み砕いていて読みやすい作品なので中学生でも読めると思います。読書感想文にはもってこいではないでしょうか。

重松清さんの作品は情熱あふれる本が多いのでその他の作品もチェックする価値ありです!

 

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『風が強く吹いている』三浦しをん―爽快感溢れる作品ナンバーワン!

『風が強く吹いている』三浦しをん―爽快感溢れる作品ナンバーワン!

爽快感溢れる作品と言ったら三浦しをんさんの『風が強く吹いている』の右に出るも作品はなかなかないのではないかと思います。

駅伝の面白さ、襷の重さを感じてくれるスポーツ小説です。

*箱根駅伝ファンにはたまらない

『風が強く吹いている』は三浦しをんさんの代表作の一つで箱根駅伝の小説と言われています。

しかし、箱根駅伝本戦というよりは箱根駅伝の予選会、もしくは箱根駅伝予選会に出るまでのかていも重要視していて普段テレビで見る箱根駅伝とは違った視点で話が繰り広げられています。

そのため、箱根駅伝好きでも「そうだったんだ」と(例えば箱根駅伝予選会にエントリーする条件など)新たな情報、条件を知ることが出来るため読んで楽しめること間違いなしです。

ただほぼ全てのメンバーが陸上未経験者なのに一年で箱根駅伝出場をあっさり決めるなど現実ではありえない展開に玄人は首をかしげてしまうかもしれません。

それでも部員たちの努力は感じられるしただ才能があるだけで走るのが速いということはないので共感できる部分が多々あります。

文章にスピード感を持たせていて次々読み進めることができるため爽快感の高さは目を見張るものがあります。

*登場人物一人一人のドラマが面白い

メンバー一人一人のランニングや箱根駅伝にかける情熱の温度差があり、これぞ正にチームということを感じさせてくれることでしょう。

スポーツ物の漫画ではよくエースやキャプテンの意向でチームが一枚岩となってみんなが同じ練習をこなしレベルアップしていくという展開が多いのですが、『風が強く吹いている』ではメンバーの力の差がありすぎるため各自バラバラの練習を行い、さらには目標が違うため結果に対しての反応もちぐはぐです。

その反応は競技者としての反応(もっと速くなりたい)でもあり、大学生としての反応(もっと目立ちたい)であり、これはまさに三浦しをんさん独特の着眼点で読んでいて飽きさせません。

*漫画化や映画化もされていてメディア露出も多い作品!

『風が強く吹いている』はどの年代にも共感が得られる作品と思われているためかメディアへの露出が多いです。面白いのがまずラジオドラマ化されたと言うところです。疾走感が凄い作品をラジオドラマ化する発想は面白いと思いました。

その後漫画化、映画化と幅広くこの作品が紹介されていきました。

三浦しをんさんの代表作はまほろ駅前シリーズ、舟を編むなどがありますが、どれもジャンルが違うという印象を持ち同じ作者だと感じさせません。

その反面どれもハイレベルな表現で読み手に分かりやすく文章を映像化させてくれること間違いなしです。

『風が強く吹いている』は読書に爽快感を求める方におすすめの作品です。

 

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『サクリファイス』近藤史恵―ここまで衝撃的なラストは見たことがない

『サクリファイス』近藤史恵―ここまで衝撃的なラストは見たことがない

『サクリファイス』は近藤史恵さんが手がけた小説です。第10回大藪春彦賞及び、第5回本屋大賞の2位に輝き数多くの賞賛を浴びています。

ロードレーサーの話ですが自転車に乗らない人でも十分楽しむことができるでしょう作品です。

*自転車好きには堪らない

最近では自転車ブームが起こっていて数多くの自転車漫画がヒットしています。その先駆けとして挙げられるのが『サクリファイス』ではないでしょうか。

近藤史恵さんの視点は自転車乗りからしてみたらかなり共感できるところが多く、読んでいて「面白い」と思わせるだけでなく、「確かに」と思わせてくれたり、時には厳しささえ与えてくれることでしょう。

自転車好きには読んでもらいたい作品ですが、自転車に乗らない人も自転車ってこういう世界なんだと思わせてくれるでしょう。

簡単にはプロになれないことをまざまざと感じさせてくれる作品で好きなだけではダメと言うことを教えてくれています。

みんな個性が強く「自転車の為に」という精神で臨んでいます。なぜここまで何かに没頭できるのかと感じさせられたり、一つのことに打ち込めることの素晴らしさを感じさせられたりする作品です。

これを読んで自転車に乗ってみようという人もいれば何かに打ち込もうと思う人もいるのではないでしょうか。

*ストイックさを求めるなら『サクリファイス』

『サクリファイス』の主人公白石は元々高校で陸上をやっていて中距離でインターハイ優勝するというスタミナの持ち主。その主人公が陸上をやめ自転車の世界に飛び込んだ。

ストイックな練習を積み重ねるところが海外のプロを目指すものの情熱を感じさせます。

チームメイトも海外へという想いが強く「自転車の為なら」とその他を犠牲にする精神が強いです。

近藤史恵さんは自転車に乗らない登場人物も上手く使いあらゆる視点で自転車に絡めてきています。

また強く感じられるのは「自転車で速くなりたい」とか「誰かに負けたくない」と言う感情を通り越して「自転車で食べていきたい」と言う想いが強いところです。

そのための練習、チーム内での争い、レースにかける意気込みは鬼気迫るものがあり近藤史恵さんの表現力の高さがうかがえます。

*衝撃的なラスト

小説を読んだり映画を観ていたりすると少なからず感動的なラスト、衝撃的なラストに出会います。

近藤史恵さんの『サクリファイス』も正にそうなのですが、私は小説、漫画をよく読みますがここまで衝撃的なラストは見たことがありません。

ただ単に衝撃的なラストだったと言ってしまったら小説そのものがチープに感じられてしまうかもしれませんが、その他の表現方法が見あたらないほど震撼させられました。

私はこの作品を手に取るまで賞を獲っていたとか人気作だったと言うことは知らなかったのですが、読んでしばらくした後に本屋大賞2位と聞いて納得しました。

何度読んでも衝撃を受ける作品ですが、二回目を読むのをためらってしまうのではないかというほど悲痛な話です。ぜひ『サクリファイス』を手にとってこの衝撃を受けてみてください。

 

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『ダッシュ!』五十嵐貴久―高校生よ、全力で走れ!

『ダッシュ!』五十嵐貴久―高校生よ、全力で走れ!

一分一秒を争う作品は少なくありませんが、五十嵐貴久さんの『ダッシュ!』ほど急かされる作品はないかもしれない。そう思わせてくれることでしょう。

とにかく高校生におすすめの作品です。

*『ダッシュ!』はなんといってもシチュエーションが面白い

『ダッシュ!』の面白いところは陸上部の先輩を主人公を含む四人の後輩が憧れているところから始まります。

四人は先輩を「ねーさん」と崇め恋心以上のものを覚えます。みんながみんな「ねーさん」のことが大好きでいろいろな無茶をしてしまいます。

「ねーさん」は別の男性が好きでみんなの恋心は報われません。

それでも大好きな「ねーさん」の為に必死に「走る」四人は誰の目にもかっこよく写り見ていて気持ちよで満ち溢れます。

みんなライバル関係なのにそれ以上の仲間。

彼らの功績は「ねーさん」の恋人を探すこと、「ねーさん」のリハビリを手伝うこと、「ねーさん」を空港に送り届けることの三つですが、そのどれもが全力で、まさに高校生には多少無茶してでもこれ位熱く生きて欲しい、こんな全力疾走をして欲しいと思わせてくれます。

もしこの作品を女性が読んだら「年下と付き合いたい」と思ってしまうのではないでしょうか。

*まさにダッシュをしているような小説!

上記に触れたように五十嵐貴久さんの『ダッシュ!』はまさに全力です。無理難題を全員で全力疾走します。野球で言ったらヘッドスライディングをしてタイミングはアウトなのに審判に「セーフ」と言わせるくらい足掻いて足掻いて足掻きまくっています。

しかもそれが自分のためではなく、大好きな異性の先輩のため(しかもその先輩には恋人がいる)読者は彼らを応援してしまうことでしょう。

四人が四人とも「ねーさん」の性格をよく知っていて、先回りして細工を仕掛けたり踏み込んで話をしたりします。「自分にもこんなに自分のことを思ってくれる人が一人でもいたら」とつい想像をしてしまうでしょう。

『ダッシュ!』と言う題名がぴったりで(全力疾走でもいいかもしれませんがちょっと硬い感じがするのでやはり『ダッシュ!』の方がいい)読後は走りきった!と思うかもしれません。

*絶対に一気読みがおすすめ

五十嵐貴久さんの『ダッシュ!』は絶対に一気読みがおすすめです。内容的に難しくないので次々と読み進めてしまいます。

また文章をすっ飛ばして会話だけ読み進めてしまう人も多いかもしれません。それは退屈だからということでなく「きちんと読みたい」と言う欲求を 「速く次を知りたい」と言う欲求が上回るからです。三、四時間程度時間を確保して一気に読むのがやはりベストでしょう。

読み飛ばしたとしても展開が進んでいるということはあっても変わっているということはない作品なので安心して下さい!

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『夕暮れのマグノリア』安東みきえ―友達とは何か

『夕暮れのマグノリア』安東みきえ―友達とは何か

安東みきえさんの『夕暮れのマグノリア』は児童文学なのにもかかわらず大人が読んで深く考えさせられる作品です。

多感期の中学生はもちろん、その親も是非読んで自分の中学時代と照らし合わせてみてもいいでしょう。

*『夕暮れのマグノリア』とは

安東みきえさんの『夕暮れのマグノリア』は6つの短編小説が詰まった本であり、「夕暮れのマグノリア」というタイトルの話はありません。奇数の季節に合わせた6つの話でいずれもふしぎな世界に誘ってくれます。

私が安東みきえさんを知ったのは塾講師をしていた際、中学生の国語のテキストでした。

生徒たちはやはり退屈そうに文章を読んでいましたが、一人の生徒から作者について突っ込まれて聞かれてしまいたじろいでしまったのを覚えています。

普段本に興味を示さなかった女の子が作品に魅せられた瞬間を初めて目の当たりし、テストでいい点数を取ったときよりも嬉しかったです。

テキストでは一部しか抜粋されておらず私も続きが気になっていたので取り寄せて読んでみたのですが、やはり面白い。

短編小説が小説で20〜30ページで構成されている上、字が大きいためさらっと読んでしまえます。(ボリュームが少ないのではないかという点についてはあまり触れないでおきましょう)

そのため小説があまり好きではないという人におすすめです。

*おすすめの作品循環バス〜凛さんとのふしぎな七月〜

『夕暮れのマグノリア』は名作ばかりが詰まっていますが、おすすめの一つを挙げろと言われたらやはり「循環バス~凛さんとのふしぎな七月~」です。

この作品で私の生徒がやられたので10人に1人はヒットするのではないかと思っています(当時のクラスは10人程度でしたので)

この作品はクールで物怖じしない凛さんが主演するのですが、主人公が凛ちゃんを気遣うあまりバスで異世界にトリップして凛ちゃんの内面を(あくまで主人公の想像なのですが)見てしまいます。

すぐに現実に戻るのですが、こういった場面の演出、空想への入り方は安東みきえさんのうまさだと思います。

安東みきえさんは絵本作家でもあるためその繊細さが十分に凝縮されている話でこの話を読むだけでも本を買う価値があると言えるでしょう。

短い話ですぐに読めてしまうにもかかわらず内容はぎっしりとしていて読みごたえがあります。

嫌な顔をされる可能性があるかもしれませんが本屋でこの話だけでも立ち読みしてみてはいかがでしょうか。もちろんよければ購入を前提ですが…

*読書嫌いの小・中学生へ

小・中学生の読書離れは随分前から指摘されています。ゲーム、携帯電話(今ではスマートフォンですが)や大ヒット漫画の台頭で小説というもののエンターテイメント性が失われているからです。

そして彼らは文字を映像化することに対して「疲れる」と感じているのだと思います。しかしこの映像化するということは慣れてしまえば簡単です。

安東みきえさんの『夕暮れのマグノリア』はこの映像化の訓練には持ってこいの作品だと思います。それでいて考えさせられる点もかなり多いので是非読んでいただきたいです。

その他安東みきえさんの『天のシーソー』もかなりおすすめなので『夕暮れのマグノリア』の一つを読んで「いいな」と思ったら手に取ってみるといいでしょう。

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